
ストックイラスト用にIllustratorデータを作るとき,複数アートボード使ってバリエーションを用意することが多いでしょう。別名保存する際,[アートボードごとに作成]にチェックを入れると,アートボードごとに個別のファイルとして書き出せます。スクリプトやプラグインなどを入れなくても自動で分割してくれるので,量産には欠かせない機能ですね。
しかしShutterstockにepsファイルをアップロードするとき,次のようなエラーが出ることがあります。
[アートボードを使用]の設定を使用してベクター画像が保存されています。この設定を使用せずにベクター画像を保存して、アップロードし直してください。詳細はこちらをご覧ください。
2020年4月20日より[アートボードごとに作成]の設定が使用禁止になり,使用を検知されると上記警告とともに不合格になります。人によっては2020年4月20日以降に使用してもエラーがないようですが,原因はよくわかっていません。
調べたところepsのソースコード中に[アートボードを使用]で書き出したかわかる印があるので,アップローダーはそこを調べている可能性が高いと考えています。
両方のepsにほとんど差はないな。でも[アートボードを使用]の設定にしたかは次の文(行)の存在を確認すればできそうだ。あれば[アートボードを使用]で複数書き出しをしている。なければ通常の別名保存。
%_0 /Int (AI 14 Clip EPS to artboard) ,
— したたか企画 (@sttk3com) May 3, 2020
詳しい話は省略しますが,自動処理でその印だけを綺麗に削除するのは困難です。書き出した個々のepsファイルをIllustratorで別名保存し直すのが簡単で良いでしょう。
そこで今回はドロップした複数のepsファイルを,Illustrator 10のepsで再保存するアプリを紹介します。
こちらのファイルをダウンロードし,開いてください。インストーラーなので,指示に従っていればインストールは終わります。macOS用とWindows用に分かれています。バージョンは1.0.4です。
resaveEPS | mac
resaveEPS | win
使いかた
Illustratorを起動した状態で,resaveEPSアプリケーションのアイコンかアプリ起動後出てくるウインドウにepsファイルをドロップしてください。対象のファイルがIllustrator 10のepsとして直接上書きされます。
大切なことなのでもう1度書きますが,直接上書きです。マスターデータには使用しないでください。もしマスターデータを上書きしてしまうと,全アートボードが1つに統合される,ドロップシャドウのような下位互換のないアピアランスが分割されるなど,管理しにくい形式に変わります。
保存オプション
Illustratorスクリプトには,書き出されたファイルから保存オプションを調べる機能がありません。そのため,オプションは作者である私のおすすめ設定です。ShutterstockサイトのEPSファイルを保存する際に推奨されるベストプラクティスに準拠しています。具体的には次のようになります。
- バージョン:Illustrator 10 EPS
- プレビューフォーマット:なし
- 他のアプリケーション用にフォントを埋め込む:OFF
- 配置した画像を含む:OFF
- CMYK PostScript を RGB ファイルに含む:OFF
- サムネールを作成:OFF
- コンパチブルグラデーション&グラデーションメッシュプリント:OFF
- Adobe PostScript:レベル2
- 埋め込みメタデータ:引き継がれる
保存画面で言えばこのようなイメージです。
これでまた少し仕事が速くなりました。今日もさっさと仕事を切り上げて好きなことをしましょう!
コードはGitHubにありますので,そちらから見てください。
GitHub – sttk3/resaveEPS